東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)383号 判決
一 請求の原因一ないし三の各事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、請求の原因四2(一)(二)の主張について検討する。
1 本願補正後の発明の要旨が請求の原因二1の補正後の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、これが審決のいうA方式とB方式を含むものであることは、右両方式に分けることの当否を除き、当事者間に争いがない。
右補正後の特許請求の範囲の記載によれば、本願補正後の発明における「各ブロツク分を文字単位で順次アドレスして、見掛上、交互にその一対の一方にデータの書き込みが行なわれている間に他方からデータの読み出しが行なわれる如くし」との要件が、A方式及びB方式のいずれをも規定する要件であることが明らかである。
そこで、右要件の意味について考究するに、成立に争いのない甲第二号証によれば、本願補正後の明細書の発明の詳細な説明中右の点について触れているのは、実施例として取り上げた四個の領域に分割された一個のコアメモリーと一組の周辺回路を用いた場合、即ち、B方式についての構成とその動作を添付図面を用いつつ説明している部分(公報三13―八7)にあることが認められる。このうちの「上記4個の領域の或る1個が送信部のデータ書き込み(リーダ出力、以下これをS1の状態という)に使用されているときに、第2の領域はデータ読み出し(データ送信、以下この状態をS2の状態という)に、第3の領域は受信部のデータ書き込み(データ受信、以下この状態をS3の状態という)に、第4の領域はデータ読み出し(データ穿孔、以下この状態をS4の状態という)に使用されるが、本方式においては第1の領域から順次第4の領域へとアドレスが行なわれ、時分割的に送受信が行なわれるようになつている。」(公報三23―33)、「次に本実施例に使用されるアドレシング方式について詳細に説明する。……………第2図のアドレス表に示すように各領域毎に1文字ずつ順次第1領域から第4領域まで時分割的にアドレスしていく(1つの領域のアドレスが全部終つてから次の領域のアドレスを行なうのではなく、1文字ずつ飛び飛びに順次循環的にアドレスする)」(公報三44―四10)との記載によれば、B方式における前記要件の「各ブロツクを文字単位で順次アドレスし」とは、右に説明されている「時分割的にアドレス」すること、即ち、一つのコアメモリーの一つの領域へのアドレスが全部終つてから次の領域へのアドレスを行なうのではなく、一つの領域から次の領域へと一文字ずつ飛び飛びに順次循環的にアドレスすることを意味するものと認められる。また、右の実施例の説明を読めば、このような時分割的なアドレシングを用いた場合、実際には各時点で一つのメモリー領域への書き込みと他のメモリー領域からの読み出しは同時に行なわれていないが、一文字ずつ飛び飛びに順次循環的にアドレスするので、見掛上は、一方のメモリー領域に書き込みが行なわれている間に他方からデータの読み出しが行なわれているようになつていることが明らかであり、このことを本願補正後の発明における必須の構成として規定したのが前記要件中の「見掛上、交互にその一対の一方にデータの書き込みが行なわれている間に他方からデータの読み出しが行なわれる如くし」の部分であることが認められる。
このように、本願補正後の明細書において、右要件の意味の説明は実施例として取り上げたB方式についての構成とその動作を説明する部分にのみ存し、A方式をも含めた本願補正後の発明全体についての説明という形式はとられていないけれども、右要件が特許請求の範囲においてA方式とB方式のいずれをも規定する要件として掲げられている以上、右の発明の詳細な説明の欄における右要件の説明は、特段の事情のない限りA方式にも妥当するものとして記載されていると解すべきである。そう解すると、A方式におけるアドレスの仕方も、B方式におけると同様に、各メモリーに対して右に説明されている意味での時分割的なアドレスを行なうものと解さなければならない。
2 被告は、右のように解すべきではないとして、四個のメモリーを使用するA方式においては、「各ブロツク分を文字単位で順次アドレスして」も、同時にアドレスしても技術的効果において何らの変りもなく、したがつて、明細書の発明の詳細な説明の中のA方式について説明している個所(公報二25―三5)には、「各ブロツク分を文字単位で順次アドレス」する旨の記載はなく、また、あつてはならないと主張する(被告の反論二1(四))。確かに右の個所にはその記載はなく、発明の詳細な説明の「送信局及び受信局に例えば4個のコアメモリーを使用し、各局の送信部では1個のコアメモリーに1ブロツクのデータの書き込み(リーダ出力)を行なつている間に他の1個のコアメモリーから1ブロツクのデータの読み出し(データ送信)を行ない、受信部では1個のコアメモリーに1ブロツクのデータの書き込み(データ受信)を行なつている間に他の1個のコアメモリーから1ブロツクのデータの読み出し(例えばデータ穿孔)を行なうようにしたものである。」(公報二26―35)との記載からは、各メモリーに対するアドレスについて、ある一個のメモリーに対するアドレスが終つてから次の一個のメモリーへアドレスすることを許容していると解されないわけではなく、また、「前記のように4個のコアメモリーを使用した場合には各コアメモリー1組毎に入出力レジスタ、入出力アンプ、アドレスレジスタ等の周辺回路を必要とし」(公報三6―9)の記載からは、各メモリーに対するアドレスがそれぞれ他と無関係に独立に行なう場合も包含しているかのように認められないわけではない。しかし、四個のメモリーを使用する場合このようなアドレスの仕方が可能であつたとしても、前叙のとおり、特許請求の範囲の記載によれば、本願補正後の発明は、A方式についても、「各ブロツク分を文字単位で順次アドレスして、見掛上、交互にその一対の一方にデータの書き込みが行なわれている間に他方からデータの読み出しが行なわれる如くし」を要件として規定し、四個のメモリーを使用する場合に可能なアドレスの仕方の内右要件に適合するアドレスの仕方のみを本願補正後の発明の内容としたものと認められ、右に引用した明細書の記載もこれと矛盾するものではない。したがつて、被告の右主張は失当であつて、採用できない。
被告は、通信工学の分野に属する本願発明に情報処理用語の「時分割(じぶんかつ)」という用語を用いることは用語の誤用である旨主張する(被告の反論二1(一))が、用語の適否だけを問題にすることは意味のないことであるばかりでなく、前記甲第二号証と成立に争いのない甲第六号証の一ないし四(「JIS用語辞典」)によれば、本願発明を説明するに当たり、情報処理用語を用いることは何ら差し支えないことが明らかであるから、被告の右主張は失当である。また、被告は、「時分割」の用語は「一つの装置」の存在を前提とするから、四個のメモリーを使用するA方式に適用できない旨主張する(被告の反論二1(二))が、前記甲第二号証によれば、A方式で使用する四個のメモリーは機能上一個の装置とみるべきであるから、被告の右主張も失当である。さらに、被告は、原告が「時分割的なアドレシング」、「時分割的なアドレス制御」という文言を用いていることを非難している(被告の反論二1(二))が、右の文言は、本願補正後の明細書中に用いられている「時分割的にアドレスしていく」ことを言い換えたに過ぎないことが明らかであり、被告の右の非難は論拠がない。そして、前示1のとおり本願補正後の発明を理解すれば、その特許請求の範囲の「時分割自動誤字訂正方式」とは、A方式、B方式を通じ、時分割的にアドレスする手段を構成要件とする本願補正後の発明を要約して示した文言として十分理解することができるから、右「時分割」という語は意味のある構造、機能を規定していないとの被告の主張(被告の反論二1(三))は理由がない。
3 引用例に、審決の理由の要点1(二)の記載があることは当事者間に争いがなく、この事実と成立に争いのない甲第五号証によれば、引用例には、遅延線メモリーを持つたデータ伝送端末装置について記述され、これにつき、「メモリの個数により種々の方式が考えられるが、本装置では二個のメモリをもつている。データの伝送効率をあげるために、一個のメモリから送信された情報が受信側で誤りが検出され再送要求がされたときでも、入力機器は何ら拘束されずに、他方のメモリへ伝達すべきデータを蓄積しておき、前者の送信が終了すると直ちに送信を開始することが出来る。」との記載があることが認められる。この記載からみると、引用例の装置において、二個のメモリーに対するアドレスは、それぞれ他と無関係に独立して行なわれているものと認められ、また、引用例の記載のすべてを検討しても、これ以外の他のアドレスの仕方を取り得る可能性を示唆する部分はないと認められる。
被告は、引用例の一対のメモリーにおける書き込み、読み出しのタイミングは、見掛上の同時にすることができると主張するが(被告の反論二2)、右認定に照らし採用できない。また、被告は、A方式においては、「各ブロツク分を文字単位で順次アドレス」することに格別の技術的意義はないこと、また、一対のメモリーにおける書き込み、読み出しのタイミングを接近させてこれを事実上同時にしてはならぬという事情もないことを理由に、特許請求の範囲に記載された「各ブロツク分を文字単位で順次アドレスして、」の要件がA方式に適用されないとの趣旨の主張をする(被告の反論二2)。しかし、A方式においても、時分割的にアドレスする仕方を取ることにより、原告の主張するように限られた種類の市販のメモリーを利用する場合にその容量不足に対処すること、あるいは一個のメモリーを用いて実施中にメモリー容量を拡張することが可能となるとの利点があると考えられ、被告主張のように必ずしも技術的に意義のないものということはできない。被告の右主張は、結局、特許請求の範囲に明記された要件を無視して本願補正後の発明のA方式を解釈しようとするものであるから、採用できない。
4 したがつて、本願補正後の発明のA方式と引用例記載のものとでは、各メモリーに対するアドレスの仕方が、前者においては時分割的に行なうものであるのに対し、後者においては他と無関係に独立して行なうものである点で、相違すると認められる。
しかるに審決は、右の点を相違点とせず、これについての判断をしていないから、審決はA方式と引用例との右相違点を看過したものといわざるを得ない。
三 次に、請求の原因四2(三)の主張について検討する。
本願補正後の発明B方式がメモリーの各領域に対し時分割的にアドレスを行なうものであり、引用例のものがこのようなアドレスを行なうものでないことは前叙のとおりである。
被告は、B方式においては、異なるブロツクに属する文字が同時に同一メモリー内に貯蔵されているが故に、即ち、一つのメモリーが複数の目的のために実際上同時に使用されているから、「時分割(じぶんかつ)」の用語をB方式に適用することはできず、B方式はメモリーの各領域に対するアドレスを時分割的に行なつていない旨主張する(被告の反論二1(一)、同二3)。しかしながら、前記甲第二号証によれば、本願補正後の明細書においては、「時分割」という用語をメモリー又はメモリー領域に対してアドレスを行なうことについて用いているのであるから、メモリーについて「使用」とは、メモリーの所望位置をアドレスしてデータを書き込み又は読み出すことを意味することは明らかである。したがつて、メモリーについての「使用」をデータの貯蔵の意味に解する被告の右主張は失当である。
以上のとおり、B方式と引用例記載のものとでは右に掲げた相違点があるにも拘らず、審決はこれを相違点とせず、これについての判断をしていないから、審決は右相違点を看過したものといわざるを得ない。
なお、審決がB方式と引用例記載のものとの相違点<4>として認定した点は、B方式がメモリーに対して前示の時分割的にアドレスを行なうものでないとの認定を前提としていることが明らかであるから、前叙の相違点を指摘したとみることはできない。
四 右に述べたとおり、審決は本願補正後の発明と引用例記載のものとの間に存する相違点を看過して、これについての判断をしていないが、本願補正後の発明において各メモリー又はメモリーの各領域に対し時分割的にアドレスを行なうとの点は発明の必須の構成であることは前叙のとおりであり、したがつて、この点についての引用例との相違点の看過が審決の結論に影響を及ぼすべきことは明らかであるから、その余の点について判断するまでもなく、審決は違法としてこれを取り消すべきである。
五 よつて、審決の取消を求める原告の本訴請求を正当として認容することとする。
〔編註その一〕 本願明細書の特許請求の範囲の記載は左のとおりである。
1 昭和四五年六月二九日付手続補正による補正後の特許請求の範囲の記載
送信局及び受信局の送信部及び受信部に各々一ブロツク分の文字の収容容量をもつメモリーまたはメモリーの領域の少なくとも各一対を具え、各ブロツク分を文字単位で順次アドレスして、見掛上、交互にその一対の一方にデータの書き込みが行なわれている間に他方からデータの読み出しが行なわれる如くし、伝送回路の雑音または故障により誤字が生じたときには送信局側送信部の記録媒体が逆行することなくその誤字の属するブロツクを記憶している送信局側送信部のメモリーから再読み出しが行なわれ、受信局側受信部のメモリーの文字が訂正された後記録媒体に記録されるようにしたことを特徴とするオフラインの全二重通信方式のデータ伝送に於ける時分割自動誤字訂正方式
2 右補正前の特許請求の範囲の記載
補正後の特許請求の範囲の記載から、「各ブロツク分を文字単位で順位アドレスして、見掛上、」との文言を除いたものと同一である。
〔編註その二〕 本件における審決の理由の要点は左のとおりである。
1 補正却下の決定の当否
(一) 本願補正後の発明の要旨は、前項1に記載されたとおりのものと認める。
本願補正後の発明は、補正後の特許請求の範囲の「メモリーまたはメモリーの領域の少くとも各一対を具え」との択一的表現に徴して、「送信局及び受信局の送信部及び受信部に各々一ブロツク分の文字の収容容量をもつメモリーの少くとも各一対を具え」た方式(以下、「A方式」という。」と「送信局及び受信局の送信部及び受信部に各人一ブロツク分の文字の収容容量をもつメモリーの領域の少なくとも各一対を具え」た方式(以下、「B方式」という。)の二種の方式を包含するものである。
なお、「時分割自動誤字訂正方式」という名称については、そのような用語は一般に使用されているわけではないこと、「訂正」の行為が時分割的に行なわれるわけでもないこと、通信工学における「時分割」の概念は、複数個のチヤネルが存在すること、共用すべき只一個の手段(例えば、伝送線路)が存在すること、
(二) 本願出願前に頒布された昭和四一年四月発行、同年電気四学会連合大会講演論文集〔Ⅴ〕に集録された第一九七一号論文、太田茂雄外三名による「遅延線メモリをもつた新しいデータ伝送端末」(以下、「引用例」という。)には、「メモリをもつた新しいデータ伝送端末装置」、同装置を用いた半二重通信方式及び同方式における自動誤字訂正方式が記載され、同装置は情報の送受信ができるものであること(同第五―六行、図一)、また二個のメモリ(メモリ一、メモリ二)をもつていること(同第一八―一九行、図一)、同メモリはいずれも遅延線メモリであつて、その容量はブロツク伝送方式にいわゆる一ブロツク分の文字数に等しいものであること(同第一六―一八行)、一方のメモリに一文字ずつの書き込みがなされているときに他方のメモリからは一文字ずつの読み出しがなされていること(同第一九―二二、二四―二六行、図一)、一方のメモリから送信された一ブロツクの情報について受信側で誤りが発見されたときは送信側へ再送要求がなされ、送信側ではそれに応じて同メモリのデータが再び一文字ずつ読み出されるものであること(同第一九―二二行)、誤り訂正の際入力機械のテープは後退しないようにされていること(同第一〇―一一行)、受信されたデータを直ちに出力機械へ入力する以前に誤りの検出がなされるものであること(同第七―八行)が各明らかである。
さらに、同論文は、まず無限定のメモリ(メモリ一般、類概念としてのメモリ)の使用とその効果とを明確にし(本文第一―一三行)、その後に同装置に遅延線メモリ(限定されたメモリ、種概念としてのメモリ)を使用した理由(「容量、速度、価格、設置場所に制限を与えないために温度、ちり等に強いこと、簡単な周辺回路で制御できること」)を明確にする(同第一三―一六行)という順序で記述し、遅延線メモリ以外のメモリ(種概念としてのメモリ)の使用可能性をも明らかにしている。
(三) 本願補正後の発明A方式と引用例記載のものとを比較対照するに、両者は、<1>前者のデータ伝送は全二重通信方式のデータ伝送であるのに対して、後者のそれは半二重通信方式のデータ伝送である点、<2>前者の自動誤字訂正方式は全二重通信方式のデータ伝送における自動誤字訂正方式であるのに対して、後者のそれは半二重通信方式のデータ伝送における自動誤字訂正方式である点の二点で相違するが、その余の点では、ことごとく一致するものと認められる(遅延線メモリーもアドレスをもつているので、「各ブロツク分を文字単位で順次アドレス」する点は、同一である。また、「時分割」なる語は、A方式においては、前述の通り有意味な構造、機能を規定しないから、これによる実質的な相違点は存在しない)。
上記の相違点<1><2>について審究するに、<1>については、半二重通信方式を全二重通信方式に変更するということが、高々、送受両用に切換使用されていた諸装置を、送信専用と受信専用とに分離独立させるという程度のことであるにすぎないから、当業者が容易に越えることのできた程度のものであり、<2>については、半二重通信方式のデータ伝送における自動誤字訂正方式を全二重通信方式のデータ伝送における自動誤字訂正方式に変更するということが、高々、送受両用に切換使用されていたメモリーその他を送信専用と受信専用とに分離独立させる(送信専用に一対のメモリーを、受信専用に別の一対のメモリーを使用する)程度のことであるにすぎないから、当業者が容易に越えることのできた程度のものであると認められる。
したがつて、本願補正後の発明A方式は、本願の出願前において、当業者が引用例記載のものに基づいて容易に想到、実施し得たものであると認められる。
(四) 本願補正後の発明B方式と引用例記載のものとを比較対照するに、両者は、前記<1><2>の点に加えて、さらに<3>前者は「メモリーの領域の少なくとも各一対を具え」ているのに対して、後者はメモリーの各一対(メモリー一とメモリー二)を具えている点、したがつてまた、<4>前者においては、あるブロツクの各文字を一方の領域へ一文字ずつ順次的に書き込むための各タイミングと前のブロツクの各文字を他方の領域から一文字ずつ順次的に読み出すための各タイミングとは互いに一致しないようにずらせる必要があるのに対して、後者においては、当然のことながら、そのようにする必要は全くない点の四点で相違するが、その余の点ではことごとく一致するものと認められる。
上記の相違点<1>ないし<4>について審究するに、<1><2>については、前述の通り、当業者が容易に越えることのできた程度のものであり、<3><4>については、容量の小さな複数個のメモリーを容量の大きな一個のメモリーに統合できることが原理的に自明であり、また、このような統合をする際に、統合前においては各メモリー相互間で一致してもしなくてもかまわなかつた各指令タイミングを、統合後においては相互に一致することのないよう互いにずらせるべきこともまた原理的に自明であるから、当業者が容易に越えることができた程度のものであると認められる。
(五) 以上のとおりであるから、前記A方式とB方式とを包摂する本願補正後の発明は、本願の出願前において、当業者が引用例記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものに帰し、特許法二九条二項の規定により特許をすることができないものであると認められる。
よつて、上記の手続補正を却下すべきものとした決定は正当であり、これを取り消す必要はない。
2 拒絶査定の当否
本願発明の要旨は、前項2の補正前の特許請求の範囲に記載されたとおりの「データ伝送に於ける時分割自動誤字訂正方式」にあるものと認められる。
先に本願補正後の発明について説示したところを勘案すれば、本願発明が特許法二九条二項の規定により特許をすることのできないものであることは明らかである。
したがつて、本願を拒絶すべきものとした査定は正当であり、これを取り消す必要はない。